2022年

独立選抜書展

会員

寂然法師の短歌八首

2022年

独立選抜書展

会員

丸山 哥央

寂然法師の短歌八首

道のべの螢ばかりをしるべにてひとりぞ出づる夕闇の空・雲晴れてむなしき空に澄みながら憂き世の中をめぐる月かな・吹く風に花橘やにほふらん昔覚ゆる今日の庭かな・闇深き木のもとごとに契りおきて朝立つ霧の跡の露けさ・今日過ぎぬ命もしかと驚かす入相の鐘の声ぞ悲しき・背かずはいづれの世にかめぐりあひて思ひけりとも人に知られん・音に聞く君がりいつかいきの松待つらんものを心づくしに・別れにしその面影の恋しきは夢にも見えよ山の端の月